Little AngelPretty devil
           〜ルイヒル年の差パラレル

      “一丁前のジレンマ”
 


関東大学アメフト秋季リーグは、11月で全日程が終了し、
12月1日に東日本代表決定戦が行われ、
大学日本一を決める“甲子園ボウル (12/15)”へ出る大学が決まる。
 ※社会人の日本一チームと戦うのは“ライスボウル”で、
  来年新春 1/03、東京ドームで開催予定。

また、12月7日と8日に入れ替え戦が行われる。
いつの間にか(おいおい)
“トップ8”と“ビッグ8”になってた1部リーグのうちの、
ビッグの下位4チームと、
2部リーグのABそれぞれのブロックの首位と二位4チームが戦って、
その結果で入れ替えとなり、
また、3部リーグは
AからDまでのブロックのそれぞれ首位が
2部のABブロックそれぞれの最下位2×2(4)チームと戦って、
来季の在籍リーグを決することとなるのだそうで。

 「う〜ん、甲子園へは王城が行くとして。」

参考までにと、観戦していた代表決定戦が、
なかなかの盛り上がりの中、
それでも例年通りの決着を見たところで。(例年通りって…)苦笑
大きめの襟全体と袖口とに、
毛足の長いファーをふんだんにまとわせた
それは愛らしいデザインのライトダウンジャケットと、
黒フリースのイージーパンツを小粋かわいく着こなす小悪魔坊や。
しっかりとゲーム展開の全貌も記録したスコアを手に、
寒さで固まった身をほぐすのをかねてか
“う〜んっ”と大きく背伸びをしてから、
スタンドの観覧席から立ち上がると、

 「次は俺らの番だな。」

今ンとこ ずっとずっと四年生(若しくは五年生?)の
坊やたちだったりするものだから、
お兄さんたちも必然的にそれへ合わせる格好で、
ずっと一回生(若しくは二回生?)のまんまという
ややこしい状態が続いているのはさておいて。(…おい)
どっちにしても、
残念なことに まだ1部に遠い位置取りのランクにおいでの
賊大“フリル・ド・リザード”は、
実は まだシーズンオフではなかったりし。
見事な健闘を見せ、リーグ首位という結果を出したので、
来週の入れ替え戦がシーズン最後を飾るラストゲーム。
これまでと違い、一発勝負の大事な舞台であり、
他のメンバーたちは、
今日から連係の確認を主体としたトレーニングに入っている。
勿論、その指導要綱は
主将の葉柱とこちらの小さな鬼軍曹殿が
様々な資料から監修したという なかなかの充実振りで。

 「何か、こういうときは自分が部外者なのが口惜しいなぁ。」
 「お?」

他の大勢の観客とともに、
雑踏という流れへ乗っかったまま出口へと向かいつつ、
傍らにいる葉柱の大きな手を取ると、
それへぶら下がるような素振りに紛れさせ、
そんな言いようをする零す軍曹さんで。
手をつないだのは もはやいつものこと、
あまりの身長差から、坊やのほうが迷子にならぬようにだが。
そっぽを向いたままでのお言葉が、
口惜しいなんて控えめな文言だったのがは ちょっと…意外で。

 “そっぽを向いてるってことは、
  本音に近いってことだよな。”

白々しい嘘をつくときほど、
ううん真剣本気だよと やたらにリキむ子だってくらい、
もはや親御レベルで把握済みの葉柱なので。
こりゃまた珍しい本音を抱えてたもんだと、
風にふわふわとなぶられて躍る、
軽やかな金の髪を乗っけたおつむを見下ろしつつ、

 「口惜しいってのは、俺らが危なっかしいってことか?」

九月からこっちの毎週毎週、ほぼ連勝で驀進して来たチームだというに、
それでも1つ上のリーグはレベルが違うと、
そう簡単には倒せまいと不安なのかと問うたところが、

 「違げぇよ。歯痒いんだよ。」

ぷぷーと白い頬ふくらませ、
そちらは随分と着ならしたカーゴパンツを
どっしりと着こなす長い脚をガンと蹴り、

 「自分でどうこう出来ることじゃないのが
  慣れがねぇから落ち着けないってか。」

 「だからって、エースの脚を蹴るか、お前。」

こっちも もう慣れはしたけれど、
痛くないワケじゃねぇんだぞと。
おっかない三白眼を眇めの、口許も歪めたものの、

 “苛ついてる子犬みてぇ…。”

飼い主の都合で散歩に行けないのがイヤイヤと、
小さな身でキャウ・ガウと一丁前に暴れてる小さきもの。
愛犬キングが小さいころに
こういう癇癪を起こしたことが結構あったので、
それをふと思い出した葉柱としては、
対等に構えたがってる坊やに失礼でもあるので、
甘やかしてはいかんと思っての恐持てを保っているものの、

 “…俺もたいがい我慢強くなったよなぁ。”

実をいや、吹き出しそうなのを
しらーっと誤魔化しておいでなだけだったりし。

 「何で目が泳いでんだ? ルイ。」

 「さぁな。
  それよか早く済んだからバーガーでも食って帰るか?」

 「あ、うんっ!」

俺、グラコロかフィッシュバーガーなvv
おいおい、猫舌のくせに難儀なもんを…と、
そこまでツーカーの大小デコボコな二人して。
早く帰ろと足早になるあとを、
閑散としたスタジアムの中を突っ切るつむじ風の音が
詰まらなさそうに空回りしていた、師走初日の午後だった。





     〜Fine〜  13.12.01.


  *いやはやお寒うございますね。
   日本のアメフト界では、
   高校生はクリスマスボウル、
   大学生は甲子園ボウルを控える頃合いです。
   世間様が忙しいのへ乗っかれないのが、
   でも自慢出来るというお立場ですね。
   “それってどこ情報?、どこ情報よ〜?”と
   自分の武勇伝をひけらかす むかつくCMと
   紙一重の態度は取らぬよう
   勝ち組の方々は せいぜいお気をつけあそばせ。(おいおい)
   (まあ、王城とか帝黒とかのこなれた方々なら、
    そういう浅ましいことはしなかろうけれど…。)


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